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この記事の内容は、個人の見解、検証の範囲のものであり、誤りがある可能性があります。
個人の責任において情報活用をお願いします。


2025年6月10日火曜日

VCFの作り方「ブラウンフィールド」について

前回と前々回では、新規構築でVCFを作成する際の『グリーンフィールド』について説明しました。
今回は既存環境をVCFにする『ブラウンフィールド』について解説したいと思います。

ブラウンフィールド方式を簡単に説明すると、既存の環境に SDDC Manager をデプロイしてマネジメントドメインへ変換するVCF Import Tools のコマンドを実行するという流れになります。
言ってしまうと簡単なんですが、それを実行するには準備が必要です。

マネジメントドメインへ変換(Convert)するには以下が固有の条件となります。
・ESXi 8.0 U3 以上のバージョンを使っている
・vCenter 8.0 U3a 以上のバージョンを使っている
・自分が管理しているESXiたちのいずれかで動作している

VIドメインとして移行(Import)するには以下が固有の条件となります。
・ESXi 7.0 U3g 以上のバージョンを使っている
・vCenter 7.0 U3h 以上のバージョンを使っている

共通の条件は以下です。
・VCとESXiは構築済み
・クラスター内のホストは同一の構成
・利用可能なストレージはvSAN、NFS、FCの3種類
・クラスタ内ではvDSを使い、VSSは削除しておく
・DRSは完全自動化モード
・VCの拡張リンクモードはサポート対象外
・NSXが構成されている環境はサポート対象外
・VxRailはサポート対象外
・vSANストレッチクラスターはサポート対象外

詳細はこちらをご確認ください。
https://techdocs.broadcom.com/jp/ja/vmware-cis/vcf/vcf-5-2-and-earlier/5-2/map-for-administering-vcf-5-2/importing-existing-vsphere-environments-admin.html

必要になる、VCF Import Tool とデプロイする SDDC Manager の OVAファイル、変換及び移行時に NSX Manager の展開も行う場合に使う NSX Manager のインストールバンドルをダウンロードします。
ダウンロードはBroadcomのダウンロードサイトでVCFを開き「Drivers & Tools」に表示を切り替えます。
以下をダウンロードしておきます。
マネジメントドメインへの変換を行っていきます。
手順はこちらを参考にしています。
https://techdocs.broadcom.com/jp/ja/vmware-cis/vcf/vcf-5-2-and-earlier/5-2/copy-the-vcf-import-tool-to-the-target-vcenter-appliance.html

何をやるかというと以下になります。
・事前チェックを行うためダウンロードしたVCF Import Toolを転送します。

・root ユーザーでVCにログインし、転送したファイルを解凍します。

・展開時に作成されたコマンドのあるディレクトリに移動して、事前チェックのコマンドを実行します。

この事前チェックで失敗した場合は、出力されているファイルから何が問題だったか確認します。

[2024-08-26 07:24:58,337] [INFO] check_domain: For more details, please, check:
        Failed guardrails YML: /home/vcf/vcfimport/vcf-brownfield-import-5.2.0.0-24108578/vcf-brownfield-toolset/output/guardrails_report_vcf-mport.snt.lab.yml
        Failed guardrails CSV: /home/vcf/vcfimport/vcf-brownfield-import-5.2.0.0-24108578/vcf-brownfield-toolset/output/guardrails_report_vcf-mport.snt.lab.csv
        All guardrails CSV: /home/vcf/vcfimport/vcf-brownfield-import-5.2.0.0-24108578/vcf-brownfield-toolset/output/guardrails_report_vcf-mport.snt.lab.csv
中を見てみると以下のように何が問題だったか教えてくれます。
それを見て問題を解消しましょう。
今回は HA/DRS の設定が問題でした。

- Object Type: cluster
  Object Name: Cluster
  Day-N Operation: ESX Upgrade
  Severity Level: ERROR
  Status: VALIDATION_FAILED
  Check Name: Cluster HA/DRS
  Description: Check if cluster has HA & DRS enabled
  Details: Cluster should have HA enabled & DRS fully automated
  Remediation: Enable HA & configure DRS to be fully automated on the cluster
ちなみに、ERRORは対応が必要ですが、WARNINGについては対処しなくても進めることができます。
チェックが完了したら使ったツールは削除するようにドキュメントに記載があります。

・チェックが完了したら SDDC Manager を展開します。

ちなみにこの時点で SDDC Manager にブラウザからアクセスすると以下のようになります。
・SDDC Manager の展開が終わったら VCF Import Toolを SDDC Manager に転送します。

・NSX Manager の展開も行う場合は、展開時に指定するNSXの情報を記載したJSONファイルを作成します。
 NSXの展開を行う場合はインストールバンドルを SDDC Manager にアップロードしておきます。

・コマンドを実行します

NSXあり
python3 vcf_brownfield.py convert --vcenter '' --sso-user '' --domain-name '' --nsx-deployment-spec-path ''
NSXなし
python3 vcf_brownfield.py convert --vcenter '' --sso-user '' --domain-name '' --skip-nsx-deployment
・処理が終了したらサービスを再起動します。
echo 'y' | /opt/vmware/vcf/operationsmanager/scripts/cli/sddcmanager_restart_services.sh
この後は、グリーンフィールドの時と同じように SDDC Manager へログインが可能になります。
ブラウンフィールドでのVCF(マネジメントドメイン)の作成方法でした。

2025年6月9日月曜日

VCFの作り方『グリーンフィールド』方式その2(Cloud BuilderでVCFの作成)

前回はVCF構築方法のグリーンフィールドについて説明しました。
今回は前回の続きでグリーンフィールドで行うCloud BuilderでのVCF構築について解説します。
Deployment Parameter Workbookへ必要な入力が終わった後はいよいよ Cloud Builder にブラウザでアクセスします。
VCFの方を選んで進みます。
色々と事前に設定しておく状態などの情報が出てきます。チェックを入れて次に進みます。
Deployment Parameter Workbookパラメーターをダウンロードしているか聞かれるので「Next」をクリックします。
「SELECT FILE」をクリックしてDeployment Parameter Workbookをアップロードします。
Deployment Parameter Workbookとの互換性がチェックされると次に進めるようになります。
Deployment Parameter Workbookの記載内容の確認が行われ、ESXiのDNSやNTP、自己証明書といった設定がされているかどうかの確認も行われます。 エラーがあったらその部分について問題を解消して次に進みます。
SDDCの展開を行うか聞かれるので「DEPLOY SDDC」をクリックします。
処理が行われすべて完了後「FINISH」をクリックします。
「LAUNCH SDDC MANAGER」をクリックします。
SDDC Manager のログインページに飛ぶので、Deployment Parameter Workbookで設定したパスワードを使いログインします。
ログイン後の画面はこちらです。


以上で Cloud Builder でのVCF構築(マネジメントドメインの構築)は完了です。
次回は既存環境をVCFにするブラウンフィールドの方法について説明したいと思います。

VCFの作り方『グリーンフィールド』について

前回まではVMware Cloud Foundation(VCF)とはどういう製品か、何ができるのかという点についてお話をさせていただきました。
今回からは、VCFをどうやって作っていくのかについてお話をさせていただこうと思います。

VCFの作り方には実は2種類あり、新規構築を行う『グリーンフィールド』と、既存の環境をVCFにする『ブラウンフィールド』という2つの種類です。
それぞれの違いはだいたい以下のようになっています。

それぞれの手順についてですが、長くなるので今回はグリーンフィールド方式を説明します。
グリーンフィールドのやり方ですが、大変心苦しいことに、ここでまた新しい『ブリングアップ』という単語が出てきます。
まずはブリングアップという単語があると知っておいてください。

グリーンフィールドの場合の手順です。
新規構築なので、一応機材の調達とかがあるんですがそこは終わっている想定でお話をさせてください。

1. ESXiをインストールし初期セットアップ
・管理ネットワークの設定
・NTPの設定
・自己証明書の更新
・vSANが組めるように必要に応じてローカルディスクをSSDとして認識させる

2. ブリングアップの実施
・OVAファイルから、Cloud Builder をデプロイ
・Cloud Builder へ読み込ませるパラメーターシートの記入
・Cloud Builder へパラメーターシートを読み込ませて、1.でセットアップしたESXiに SDDC Maneger、vCenter、NSX を自動構築

読者の皆様方に置かれましては、またしても『Cloud Builder』という新しい単語に気が付かれたかと思います。
こちらは、セットアップ済みのESXiを使用してVCFのマネジメントドメイン(SDDC Maneger、vCenter、NSX)を自動作成するアプライアンスマシンとなります。
このタイミングでしか使うことはなく、一度マネジメントドメインを作成した後は使わないツールとなります。

では、各手順をもう少し詳しく説明します。

ESXi の初期セットアップについては特に問題ないと思いますが、IPアドレス、DNS、ホスト名の設定にNTPの設定です。
自己証明書の更新というのは以下のコマンドで実行します。
ssh か DUCI でコマンドを実行してください。
/sbin/generate-certificates
このコマンド実行後は、各サービスを再起動します。
/etc/init.d/hostd restart && /etc/init.d/vpxa restart && /etc/init.d/rhttpproxy restart
もしくはホストの再起動やDUCIから管理サービスの再起動でも大丈夫です。

続いてブリングアップの仕方について説明しましょう。
まずは、Cloud BuilderのOVF と Cloud Builder に読み込ませて使うパラメーターシートの Deployment Parameter Workbook を Broadcom のダウンロードサイトから入手します。

実施の前には、Cloud BuilderをどこかのESXiやWorkStationなどに展開する必要があります。
手順はこちらをご参照ください。
https://techdocs.broadcom.com/jp/ja/vmware-cis/vcf/vcf-5-2-and-earlier/5-2/vmware-cloud-foundation-architecture-and-deployment-guide-5-2/deploying-cloud-foundation--/deploy-cloud-foundation-builder-vm--.html

Cloud Builder 展開後は、自動構築させるためのパラメーター を Deployment Parameter Workbook に入力します。
中身はこんな感じで、必須な部分はセルが赤くなっています。
必要な入力が終わった後はいよいよ Cloud Builder にブラウザでアクセスします。
マネジメントドメインの作成について1例を挙げると以下のようなイメージになります。
長くなってしまったので、実際にCloud Builder で構築する際の内容は次回で説明します。