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この記事の内容は、個人の見解、検証の範囲のものであり、誤りがある可能性があります。
個人の責任において情報活用をお願いします。


2025年6月10日火曜日

VCFの作り方「ブラウンフィールド」について

前回と前々回では、新規構築でVCFを作成する際の『グリーンフィールド』について説明しました。
今回は既存環境をVCFにする『ブラウンフィールド』について解説したいと思います。

ブラウンフィールド方式を簡単に説明すると、既存の環境に SDDC Manager をデプロイしてマネジメントドメインへ変換するVCF Import Tools のコマンドを実行するという流れになります。
言ってしまうと簡単なんですが、それを実行するには準備が必要です。

マネジメントドメインへ変換(Convert)するには以下が固有の条件となります。
・ESXi 8.0 U3 以上のバージョンを使っている
・vCenter 8.0 U3a 以上のバージョンを使っている
・自分が管理しているESXiたちのいずれかで動作している

VIドメインとして移行(Import)するには以下が固有の条件となります。
・ESXi 7.0 U3g 以上のバージョンを使っている
・vCenter 7.0 U3h 以上のバージョンを使っている

共通の条件は以下です。
・VCとESXiは構築済み
・クラスター内のホストは同一の構成
・利用可能なストレージはvSAN、NFS、FCの3種類
・クラスタ内ではvDSを使い、VSSは削除しておく
・DRSは完全自動化モード
・VCの拡張リンクモードはサポート対象外
・NSXが構成されている環境はサポート対象外
・VxRailはサポート対象外
・vSANストレッチクラスターはサポート対象外

詳細はこちらをご確認ください。
https://techdocs.broadcom.com/jp/ja/vmware-cis/vcf/vcf-5-2-and-earlier/5-2/map-for-administering-vcf-5-2/importing-existing-vsphere-environments-admin.html

必要になる、VCF Import Tool とデプロイする SDDC Manager の OVAファイル、変換及び移行時に NSX Manager の展開も行う場合に使う NSX Manager のインストールバンドルをダウンロードします。
ダウンロードはBroadcomのダウンロードサイトでVCFを開き「Drivers & Tools」に表示を切り替えます。
以下をダウンロードしておきます。
マネジメントドメインへの変換を行っていきます。
手順はこちらを参考にしています。
https://techdocs.broadcom.com/jp/ja/vmware-cis/vcf/vcf-5-2-and-earlier/5-2/copy-the-vcf-import-tool-to-the-target-vcenter-appliance.html

何をやるかというと以下になります。
・事前チェックを行うためダウンロードしたVCF Import Toolを転送します。

・root ユーザーでVCにログインし、転送したファイルを解凍します。

・展開時に作成されたコマンドのあるディレクトリに移動して、事前チェックのコマンドを実行します。

この事前チェックで失敗した場合は、出力されているファイルから何が問題だったか確認します。

[2024-08-26 07:24:58,337] [INFO] check_domain: For more details, please, check:
        Failed guardrails YML: /home/vcf/vcfimport/vcf-brownfield-import-5.2.0.0-24108578/vcf-brownfield-toolset/output/guardrails_report_vcf-mport.snt.lab.yml
        Failed guardrails CSV: /home/vcf/vcfimport/vcf-brownfield-import-5.2.0.0-24108578/vcf-brownfield-toolset/output/guardrails_report_vcf-mport.snt.lab.csv
        All guardrails CSV: /home/vcf/vcfimport/vcf-brownfield-import-5.2.0.0-24108578/vcf-brownfield-toolset/output/guardrails_report_vcf-mport.snt.lab.csv
中を見てみると以下のように何が問題だったか教えてくれます。
それを見て問題を解消しましょう。
今回は HA/DRS の設定が問題でした。

- Object Type: cluster
  Object Name: Cluster
  Day-N Operation: ESX Upgrade
  Severity Level: ERROR
  Status: VALIDATION_FAILED
  Check Name: Cluster HA/DRS
  Description: Check if cluster has HA & DRS enabled
  Details: Cluster should have HA enabled & DRS fully automated
  Remediation: Enable HA & configure DRS to be fully automated on the cluster
ちなみに、ERRORは対応が必要ですが、WARNINGについては対処しなくても進めることができます。
チェックが完了したら使ったツールは削除するようにドキュメントに記載があります。

・チェックが完了したら SDDC Manager を展開します。

ちなみにこの時点で SDDC Manager にブラウザからアクセスすると以下のようになります。
・SDDC Manager の展開が終わったら VCF Import Toolを SDDC Manager に転送します。

・NSX Manager の展開も行う場合は、展開時に指定するNSXの情報を記載したJSONファイルを作成します。
 NSXの展開を行う場合はインストールバンドルを SDDC Manager にアップロードしておきます。

・コマンドを実行します

NSXあり
python3 vcf_brownfield.py convert --vcenter '' --sso-user '' --domain-name '' --nsx-deployment-spec-path ''
NSXなし
python3 vcf_brownfield.py convert --vcenter '' --sso-user '' --domain-name '' --skip-nsx-deployment
・処理が終了したらサービスを再起動します。
echo 'y' | /opt/vmware/vcf/operationsmanager/scripts/cli/sddcmanager_restart_services.sh
この後は、グリーンフィールドの時と同じように SDDC Manager へログインが可能になります。
ブラウンフィールドでのVCF(マネジメントドメイン)の作成方法でした。

2025年6月9日月曜日

VCFの作り方『グリーンフィールド』方式その2(Cloud BuilderでVCFの作成)

前回はVCF構築方法のグリーンフィールドについて説明しました。
今回は前回の続きでグリーンフィールドで行うCloud BuilderでのVCF構築について解説します。
Deployment Parameter Workbookへ必要な入力が終わった後はいよいよ Cloud Builder にブラウザでアクセスします。
VCFの方を選んで進みます。
色々と事前に設定しておく状態などの情報が出てきます。チェックを入れて次に進みます。
Deployment Parameter Workbookパラメーターをダウンロードしているか聞かれるので「Next」をクリックします。
「SELECT FILE」をクリックしてDeployment Parameter Workbookをアップロードします。
Deployment Parameter Workbookとの互換性がチェックされると次に進めるようになります。
Deployment Parameter Workbookの記載内容の確認が行われ、ESXiのDNSやNTP、自己証明書といった設定がされているかどうかの確認も行われます。 エラーがあったらその部分について問題を解消して次に進みます。
SDDCの展開を行うか聞かれるので「DEPLOY SDDC」をクリックします。
処理が行われすべて完了後「FINISH」をクリックします。
「LAUNCH SDDC MANAGER」をクリックします。
SDDC Manager のログインページに飛ぶので、Deployment Parameter Workbookで設定したパスワードを使いログインします。
ログイン後の画面はこちらです。


以上で Cloud Builder でのVCF構築(マネジメントドメインの構築)は完了です。
次回は既存環境をVCFにするブラウンフィールドの方法について説明したいと思います。

VCFの作り方『グリーンフィールド』について

前回まではVMware Cloud Foundation(VCF)とはどういう製品か、何ができるのかという点についてお話をさせていただきました。
今回からは、VCFをどうやって作っていくのかについてお話をさせていただこうと思います。

VCFの作り方には実は2種類あり、新規構築を行う『グリーンフィールド』と、既存の環境をVCFにする『ブラウンフィールド』という2つの種類です。
それぞれの違いはだいたい以下のようになっています。

それぞれの手順についてですが、長くなるので今回はグリーンフィールド方式を説明します。
グリーンフィールドのやり方ですが、大変心苦しいことに、ここでまた新しい『ブリングアップ』という単語が出てきます。
まずはブリングアップという単語があると知っておいてください。

グリーンフィールドの場合の手順です。
新規構築なので、一応機材の調達とかがあるんですがそこは終わっている想定でお話をさせてください。

1. ESXiをインストールし初期セットアップ
・管理ネットワークの設定
・NTPの設定
・自己証明書の更新
・vSANが組めるように必要に応じてローカルディスクをSSDとして認識させる

2. ブリングアップの実施
・OVAファイルから、Cloud Builder をデプロイ
・Cloud Builder へ読み込ませるパラメーターシートの記入
・Cloud Builder へパラメーターシートを読み込ませて、1.でセットアップしたESXiに SDDC Maneger、vCenter、NSX を自動構築

読者の皆様方に置かれましては、またしても『Cloud Builder』という新しい単語に気が付かれたかと思います。
こちらは、セットアップ済みのESXiを使用してVCFのマネジメントドメイン(SDDC Maneger、vCenter、NSX)を自動作成するアプライアンスマシンとなります。
このタイミングでしか使うことはなく、一度マネジメントドメインを作成した後は使わないツールとなります。

では、各手順をもう少し詳しく説明します。

ESXi の初期セットアップについては特に問題ないと思いますが、IPアドレス、DNS、ホスト名の設定にNTPの設定です。
自己証明書の更新というのは以下のコマンドで実行します。
ssh か DUCI でコマンドを実行してください。
/sbin/generate-certificates
このコマンド実行後は、各サービスを再起動します。
/etc/init.d/hostd restart && /etc/init.d/vpxa restart && /etc/init.d/rhttpproxy restart
もしくはホストの再起動やDUCIから管理サービスの再起動でも大丈夫です。

続いてブリングアップの仕方について説明しましょう。
まずは、Cloud BuilderのOVF と Cloud Builder に読み込ませて使うパラメーターシートの Deployment Parameter Workbook を Broadcom のダウンロードサイトから入手します。

実施の前には、Cloud BuilderをどこかのESXiやWorkStationなどに展開する必要があります。
手順はこちらをご参照ください。
https://techdocs.broadcom.com/jp/ja/vmware-cis/vcf/vcf-5-2-and-earlier/5-2/vmware-cloud-foundation-architecture-and-deployment-guide-5-2/deploying-cloud-foundation--/deploy-cloud-foundation-builder-vm--.html

Cloud Builder 展開後は、自動構築させるためのパラメーター を Deployment Parameter Workbook に入力します。
中身はこんな感じで、必須な部分はセルが赤くなっています。
必要な入力が終わった後はいよいよ Cloud Builder にブラウザでアクセスします。
マネジメントドメインの作成について1例を挙げると以下のようなイメージになります。
長くなってしまったので、実際にCloud Builder で構築する際の内容は次回で説明します。

2025年5月30日金曜日

SDDC Maneger からの管理とはどんな感じなのかについて

前回はVCFの司令塔であるSDDC Managerで出来ることについて解説しました。
今回は具体的にVCFになって SDDC Maneger を使うようになったらどんな感じなのかをざっくり説明しようと思います。

SDDC Manager へログインした後はこんな感じです。

Managment Domain や VI Domain へのアクセスはどうなるかというと、ワークロードドメインを表示すると出てきます。
といっても、結局 vSphere Client のリンクが出てくるので SDDC Manager の画面から直接管理ができるわけではありません。
リンク一覧みたいなものですね。

で実際にSDDC Managerの画面でできる事というのは「ライフサイクル管理」と「管理」の中にある項目です。
ライフサイクル管理は、そこまで何ができるというものでもないので簡潔に説明します。

ライフサイクル管理
・SDDC Manager では新しいバージョンが出たらダウンロードができるようになっています。
・リリースバージョンでは利用可能なVCFのバージョンや製品のBOMが見れます。
・バンドル管理ではダウンロード可能な製品の一覧が確認でき、ダウンロードすることができます。
・イメージ管理はVI Domainを作成するときのESXiのイメージなどを管理します。

次に管理ですが、こちらは SDDC Maneger ならではといった感じが出てきます。

管理
「ネットワーク設定」では以下のように、「ネットワークプールの作成」と「DNS構成」と「NTP」構成ができます。
ネットワークプールとは何かといいますと、用途ごとに作成するVMKernelで使うIPアドレスのプールという事になります。
以下のように設定項目があります。
これを設定しておくことで追加でESXiをクラスタに入れたいときなどに設定を自動的に拾ってきてVMKernelを作成してくれるようになります。

「ストレージ」はVASAプロバイダを登録するときに使います。

「ライセンス」はライセンス登録を行います。
vCenter と同じような感じなので割愛します。

「プロキシ設定」はプロキシを使う場合に使用します。

「バックアップ」は SDDC Maneger のバックアップ先を指定して自動バックアップをスケージュールできます。

「デポ設定」はバンドル管理等でBroadcomからファイルをダウンロードするためのユーザーとパスワードを登録する設定となります。

「VMware Aria Suite」 は Aria 製品を展開するとその製品へのリンクが追加されます。
今回は Aria Suite の展開まではやらない予定です。

セキュリティのパスワード管理と認証局は SDDC Manager ならではの機能というわけでもなく vCenter に統合されつつあるのでここでは割愛します。

というわけでざっくりと SDDC Maneger にアクセスできるようになったらどうなるのかというお話でした。
次回は、VCF をどうやって作っていくのかというお話になります。

2025年5月5日月曜日

SDDC Manager でできる事について

前回、VCF 環境というのは SDDC Manager によって管理されている Management Domain と VI Domain の環境という事を説明させていただきました。
今回は具体的に SDDC Manager が何をするのかを説明したいと思います。
それっぽい言葉で言うと、SDDC Manager は VCF 環境の司令塔であり全体管理を自動化するツールでしょうか。

具体的に何ができるのかというと、VI Domainの自動構築、各製品のバージョンアップ、パスワード管理、各 Domain へ ESXi の追加といったことができます。
それぞれについてもう少し詳しく説明していきます。

VI Domainの自動構築
今まで、SDDC Manager から自動で構築できますという話をしていましたが、実際どういう事かについて説明します。
まず、ESXi を SDDC Manager に追加するホストコミッショニングという作業をすると、SDDC Manager が登録された ESXi を管理できるようになります。
管理下にある ESXi とあらかじめ入力しておいた設定情報を使って VI Domain(VC/NSX/vSAN)を自動構築してくれます。

ESXiをインストールしなければならないのは手動でやる場合も同じですが、vMotionやvSAN用のVMkernelの作成などの設定は事前に設定しておけるのでらくになります。
vCenterとNSXの構築は設定内容を渡せばあとは自動で組み上げてくれます。

欲しいパーツを伝えたら、パソコンを組み上げてくれるBOTみたいな感じですね。

各製品のバージョンアップ
SDDC Manager、vCenter、ESXi、NSX のバージョンアップを行う際、依存関係などでバージョンアップを行う順番があります。
手動で順番にやることもできなくはないですが、SDDC Manager を使うとボタン一つで実行した際に依存関係などを考慮して順番にバージョンアップを行ってくれるようになります。

事前にパッチのダウンロードを済ませてから実行すると、エラーさえ発生しなければ処理を開始するだけで SDDC Manager → NSX → vCenter → ESXi の順番にバージョンアップを済ませてくれるのでとても便利です。
エラーさえ起きなければ・・・ね・・・

パスワード管理
こちらはパスワードの更新を自動化したり、することができる機能です。
出来るんですが、パスワードが自動作成されてしまうため手動で入力できません。
自動作成されたパスワードは、SDDC Manager に SSH等でログインしないとわからないため軽い気持ちで変更すると結構痛い目を見ます(〇敗…

証明書の管理
SDDC Maneger が管理している各製品について証明書を発行してインストールを行うことが可能です。
うっかり証明書の期限が切れてしまった場合なども、何が期限切れになったのか等確認して証明書をインストールしたりできるわりと便利な機能です。

各 Domain へ ESXi の追加
こちらは、VI Domain の構築と被りますが、ESXi の初期インストールを実施し SDDC Manager へホストのコミッショニングを行っておけば、Management Domain および VI Domain へ ESXi を追加できるというものです。
追加するときにその他のホストと設定を合わせてくれるのでスムーズに追加ができるというのが良い点になると思います。
ただ、これ追加した後は削除できなさそうなので、需要に合わせてホストの登録を解除したいときは手動で解除しなければならなさそうです・・・


今回は SDDC Manager でできる事の解説でした。
一つ一つを手動でやることも可能ですが、大量の ESXi、vCenter、NSX への設定を個別にやることを考えると手間も掛かりミスも多くなることは目に見えています。
それを自動でやって手間とミスを減らすという事が出来るのが SDDC Manager という製品です。

なお、パスワードの管理は vCenter からもできるようになったため、SDDC Manager はいずれ vCenter に統合されていくのかなぁという気はしてしまいますね。
次回はVCFになると具体的にどんな風に変わっていくのかという部分を解説していきたいと思います。

2025年4月30日水曜日

vSphere Cloud Foundation(VCF)について理解を深めようシリーズ

今回から vSphere Cloud Foundation(VCF)について私が理解を深めていくために記事を書いていきたいと思います。
内容としては今のところこんな感じを想定していますが、その時の興味と実際に確認できたかどうかで内容はしれっと変わっていくのでご容赦ください。

1章 VCF ってどういう環境?
- vSphere Cloud Foundation(VCF)環境とは何か?
- SDDC Manager でできる事について
- SDDC Maneger からの管理とはどんな感じなのかについて

2章 VCF の作り方
- 『グリーンフィールド』と『ブラウンフィールド』
- 『BuringupとCloud Builder』とは
- 『既存環境をVCFに組み込む VCF Import Tool』とは

3章 やってみよう、VCF Import ツールで既存環境を Manager Domain に Convert
- 事前準備
- SDDC Manager の展開
- VCF Import Tool の導入と Management Domain へ Convert の実行

4章 やってみよう、VCF Import ツールで既存環境を VI Domain に Import
- 事前準備
- VCF Import Tool で VI Domain として Import の実行

vSphere Cloud Foundation(VCF)環境とは何か?
vSphere Cloud Foundation(VCF) は Software-Defined Data Center(SDDC)をオンプレに構築して仮想マシンなどを管理していきましょうという製品です。
vSphere の製品(vCenter、ESXi、vSAN、NSX)で SDDC を作成して使っていきましょうという感じです。
NSX はちょっと一般的ではないかもしれないですが、vCenter、ESXi、vSAN はそこそこ使っている方がいるかと思います。

なので土台となっている環境自体は普段と同じと思っても大丈夫です。
VCFだからESXiではない別の新しいハイパーバイザーが登場するというようなことではありません。
一番大きな違いとしては、たくさんの SDDC 環境を展開して使うという点でありそこが一番の頭を悩ませる部分です。

この SDDC を作っていくのがVCFという製品になるわけですが、たくさんの SDDC を作っていくため管理用の機能を持たせる管理用の SDDC を必要とします。
それが Managment Domain です。
この Managment Domain には、vCenter や NSX Manager 等の vSphere が提供する機能を管理するアプライアンスマシンが動作します。

では、管理系ではないユーザーが実際に使う仮想マシンたちはどこで動作するのかというと、VI Domain と呼ばれるワークロード用の SDDC になります。
この VI Domain を素早く作り出すのがVCFの一番の使命となっています。

VI Domain がたくさん作られるという事は、いくつもの vCenter、ESXi、vSAN、NSX のセットが作られることになるため、vCenter を管理する vCenter が欲しくなります。
その役割を担うのが、SDDC Manager というアプライアンスマシンです。
もうこれだけで普段 vCenter と ESXi で仮想マシンを動かしているスタンダードなvSphere環境に親しんでいる人は意味が解らないと思います。
構築した際のVCF環境についてイメージ図をご用意したしましたのでご覧ください。
Managment Dmain は管理用の環境で、VI Domain がユーザーが利用する仮想マシンが動作する環境です。
絵を見ていただくと VI Domain には vCenter と NSX Manager が居ませんが、それらは Managment Dmain に作られます。
ESXi も8台あって大体これが最小構成(ほんとに最小構成にすると7台)となります。

というわけで、繰り返しますが VCF という製品の目的は Management Domain を使って VI Domain を複数作って管理することを目的とした製品となります。
複数作るわけですから、2個目の VI Domain を作成した場合のイメージ図はこんな感じです。
これが、どんどん増えていくようなことを想定しているわけですね・・・。


つまり、めちゃくちゃ大規模な環境で使うことが前提の製品となっています。
さらに、VI Domain を作れば作るほど Management Domain に vCenter と NSX Manager が増えていきますので、それを担保できるリソースが Management Domain にも必要になるのでそこをケチることも難しい・・・なぁ。

というわけで、今回は VCF 環境というのは SDDC Manager によって管理されている Management Domain と VI Domain の環境という事だけ覚えておいてもらえたらなと思います。
こんな感じのスタートとなりましたが、この VCF環境となることで親しみのある vCenter/ESXi 環境と違う管理がどのようにできるのか等、VCF について紹介していこうと思いますのでよろしければお付き合いください。

2025年3月31日月曜日

ホストプロファイルでパスワードを上書きしてみる。

今回はちょっと面白い K Bを見つけたので紹介がてらやってみようと思います。
どんな KB かといいますと、ESXi の root パスワードを忘れちゃったときにホストプロファイルで修正するというものです。

kb:https://knowledge.broadcom.com/external/article/321439/esxi-root.html

そもそもホストプロファイルとは何ぞやという方のために軽く説明すると『ESXi ホストの設定をテンプレート化し、複数のホストに一貫した設定を適用できる機能』となります。

例えば、ネットワーク設定やストレージ構成、セキュリティ設定などをホストプロファイルとして保存し、それを他の ESXi ホストに適用することで同じ設定にすることができるというものです。

詳細は公式ドキュメントの以下をご確認ください。
https://techdocs.broadcom.com/jp/ja/vmware-cis/vsphere/vsphere/8-0/host-profiles-8-0/what-are-vsphere-host-profiles.html#GUID-0E5BF330-A765-4CDB-A97C-1D8C26260E5A-en

早速やっていきたいと思います。
今回はつまり、ESXi の root に関する設定をホストプロファイルで作成し、ESXi に適用することでわからなくなってしまったパスワードを修正するということです。
中々機転の利いた使い方だなぁと思いました。
まず、vCenter にログインしホストプロファイルを表示します。
元となるホストからホストプロファイルを抽出して使うので、「ホストプロファイルの抽出」をクリックします。
抽出する ESXi を選択して「次へ」をクリックします。
ホストプロファイルの名前を設定して「完了」をクリックします。
これでホストプロファイルが作成できました。
このホストプロファイルを編集してパスワードを上書きさせます。
リンクからホストプロファイルの詳細に移動してください。
「アクション」から「ホストプロファイルの編集」をクリックします。
余計な部分まで変更しないように一旦チェックボックスをすべて外します。
以下のようにたどって「root」を表示し、パスワードで「固定パスワード設定」を選びます。
変更するパスワードを入力して「保存」をクリックします。
これでパスワードを上書きするホストプロファイルができました。
パスワードの上書を行うため、ホストプロファイルを対象の ESXi に添付します。
「アクション」から「ホスト及びクラスタの添付/分離」をクリックしてください。
ホストプロファイルを添付する ESXi を選択し「保存」をクリックします。
添付したホストプロファイルがESXiの状態と一致しているかをチェックするため、「アクション」から「ホストプロファイルのコンプライアンスの確認」をクリックします。
処理が完了すると「最近のコンプライアンスエラー」にホストプロファイルを添付した ESXi が出てきます。
これは現在使用しているパスワードと、ホストプロファイルに設定したパスワードが異なっているためです。
いよいよ現在使っているパスワードを、ホストプロファイルで設定したパスワードに変更します。
「アクション」から「修正」をクリックしてください。
修正を行うホストを選択して「修正」をクリックします。
処理が完了すると、コンプライアンスエラーが無くなり準拠に数えられます。
これで ssh 等から ESXi にログインする際に、ホストプロファイルで設定したパスワードを使用してログインができるようになっているはずです。
今回は以上となります。

2025年2月28日金曜日

vCenterのコンテンツライブラリを使ってみる。その3 作ったコンテンツライブラリのアイテムを別のvCenterから利用してみる。

今回はvCenterで作成したコンテンツライブラリを別のvCenterで使ってみようと思います。
コンテンツライブラリを作成したvCenterをvCenter-Aと呼び、コンテンツライブラリを使わせてもらう方のvCenterをvCenter-Bと呼ばばせてもらいます。
すでにコンテンツライブラリは作成してあるので、作成後に何をするのかというお話になります。

まずコンテンツライブラリが他のvCenterから使える公開された状態にあるかどうかという部分の確認です。
公開されている状態というのがどういうことかといいますと、以下のようにアクセス用のURLが発行されているかどうかとなります。

この公開状態にするには作成時に公開する方法(今回はこれで作成しました。)

もしくは、あとから設定を公開に変更するかのどちらかです。
コンテンツライブラリの設定編集を開くと、公開するかどうかのチェックがあるのでそれをチェックするとURLがコピーできるようになります。
設定を保存すると、最初に紹介したようにサマリでも確認できます。

公開されているURLをコピーしたら、使いたい方のvCenter-Bにログインします。

コンテンツライブラリを作成する際に、公開されているコンテンツライブラリをURLで指定して作成します。

これでコンテンツライブラリを共有することができました。

この状態のvCenter-Bでコンテンツライブラリの各アイテムを見ると「ローカル」が「いいえ」となっています。
これは、アイテム自体はあることは知っているけどまだ自分のところには持ってきてないので使えませんよという状態です。
そのため、ローカルに持ってきてもらって使えるようにする必要があります。

そのためには何をするかというと、アイテムの同期という処理をします。
アイテムをローカルに保存出来たら「ローカル」でも「はい」と表示されvCenter-Bでも使えるようになります。
OVF & OVA テンプレートの方も同様です。

アイテムを同期してローカルを「はい」にします。
同期がの処理がタスクとして現れます。

処理が終わるとローカルが『はい』となり使えるようになります。
ちゃんとコンテンツライブラリからのISOマウントや、テンプレートからの作成が選べますね



ちなみにですが、このコンテンツライブラリにvCenter-B側から新規のアイテムを追加することはできません。
使いたいアイテムを増やしたい場合は、vCenter-AにアイテムをインポートしてからvCenter-Bでアイテムの同期を行う必要がありますのでご注意ください。

ちなみに今回は利用するアイテムを個別に同期しましたが、コンテンツライブラリのサブスクライブ時にコンテンツライブラリ内のアイテムをすべて同期させるようにすることができます。
こちらの一番下にあるチェックですね。
ただ、これをやるときはコンテンツライブラリの中に大量のアイテムがない場合をお勧めします。
一気に同期をしてかなり時間がかかったりしますので・・・。